千鳥 (狂言) (Chidori (Plovers) (Kyogen))
千鳥(ちどり)は狂言の演目のひとつ。
酒屋から酒をただで手に入れようと画策する太郎冠者と、それをさせまいとする酒屋の主人のやり取りを謡ったもの。
登場人物
能シテ:太郎冠者
アド:酒屋の主人
アド:主
あらすじ
ある日の急な来客に、家の主は太郎冠者を呼びつけ、酒屋へいって酒を貰ってくるよう命じた。
しかし、太郎冠者は「前の支払いが終わっていないので、きっと譲ってはくれないでしょう」と諫言する。
主はうまく取ってこられたら褒美をやると約束し、太郎冠者を無理矢理追い立てた。
酒屋の主人に酒を無心してみる。
しかし案の定、前回の支払いが終わらねば渡す事は出来ぬと突っぱねる。
思案した太郎冠者は珍品を好む酒屋の主人に面白い話を聞かせ、その隙をついて酒をかっぱらう事を思いつく。
そして、「津島祭りで見たチドリ科を取る話をしよう」と仕形話を始める。
酒屋の主人に囃させ、謡い舞いながら隙を見て酒樽に手をかける。
しかし失敗する。
再度流鏑馬の話をして気を引こうとするも、用心した酒屋の主人は酒樽を話に使わぬよう釘をさされる。
太郎冠者は木杖にまたがり、流鏑馬の騎手の態で一回りしながら酒樽を担ぎ、一目散に逃げ出す。